【35】第一次世界大戦とロシア革命
<第一次世界大戦>1914-1918
(1) 20世紀初頭の国際情勢
(2) 第一次世界大戦の勃発
(3) 第一次世界大戦の終結
(4) ロシア二月革命
(5) ロシア十月革命。史上初、社会主義国家の誕生
(6) 内戦と諸外国の干渉
(1)20世紀初頭の国際情勢
ポイント①もう一度確認!20世紀初頭の列強の同盟関係
ドイツに対抗するために生まれた国際関係を整理
ドイツ VS ロシア
(ビスマルク時代)
・三国同盟(ドイツ・オーストリア・イタリア)
・独と露は再保障条約(秘密条約)
(ヴィルヘルム2世時代)
再保障条約を更新せず、ロシアとけんかを始める。
↓↓
仏はそれをのがさず、露と手を結ぶ。
・露仏同盟(1891)
ヨーロッパの情勢が一気に変わる。
※三国同盟のイタリアとオーストリアは領土をめぐって、実はギクシャク状態。(未回収のイタリア)
ヴィルヘルム2世はこれを解決せず、露にけんかを売ってしまった。
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ポイント②第一次世界大戦へとつながる国際関係が誕生!
三国同盟と三国協商の対立
ドイツ VS イギリス(三国協商の成立)
独はロシアにけんかを売ったあと、英にもけんかを売る。
ドイツの方が工業力で上になった。
↓↓
「光栄ある孤立」だった英が、他の国と初めてくっつく。
・日英同盟(1902)
↓↓
・英仏協商(1904)
一緒にドイツを止めましょう。エジプト(英)とモロッコ(仏)の相互承認。
↓↓
・英露協商(1907)
↓↓
・三国協商(1907)
三国同盟:独・伊・オーストリア
VS
三国協商:英・仏・露
↑↑
独キライ同盟。
露仏同盟(1891)。英仏協商(1902)。英露協商(1907)。
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ポイント③バルカン半島は「ヨーロッパの火薬庫」
一つの火種が大爆発を起こす
<バルカン半島の危機>
なぜ危険?→独や露の思惑がバルカン半島にあったため。
パン=ゲルマン主義(ドイツ)
VS
パン=スラヴ主義(ロシア)
セルビア・・パン=スラヴ主義の中心勢力。バルカン半島はスラブ人が多い。独は入ってくるな。
バルカン半島の情勢が悪化していく・・
青年トルコ革命(1908)→オスマン帝国(トルコ国内が混乱)
・便乗する形でブルガリアが独立。
・そのすきにオーストリアが無理やり隣のボスニア・ヘルツェゴビナを併合。バルカン半島に勢力を伸ばしてくる。
↓↓
隣のセルビアは反発。
・イタリア=トルコ戦争
イタリアが、弱っているオスマン帝国に侵入。アフリカのリビアを獲得。
↓↓
セルビアは、この弱っているオスマン帝国の領土を奪う
↓↓
・バルカン同盟(1912)
セルビア・ブルガリア・モンテネグロ・ギリシアの同盟(+ロシアの支援)
・第1次バルカン戦争(1912)
バルカン同盟 〇VS ✕オスマン帝国敗北
・第2次バルカン戦争(1913)
セルビア・モンテネグロ・ギリシア ルーマニア・オスマン帝国〇VS✕ブルガリア。仲間割れしてブルガリアが敗北。
↓↓
負けたオスマン帝国とブルガリアは、セルビアやロシアに反感を持つようになる。
↓↓
独、オーストリア側(三国同盟側)に付く。
(2)第一次世界大戦の勃発
ポイント①第一次世界大戦の引き金をひいたある事件!
セルビアの青年が放った銃弾が世界大戦を引き起こす・・
・サライェヴォ事件(1914.6.28)
オーストリア帝位継承者夫妻・フェルディナント夫妻。
陸軍演習の視察でサライェヴォ(ボスニアの州都)を訪問。ボスニアはオーストリアが無理に併合した地域。
セルビア青年が夫妻を暗殺。
「にっくきオーストリアめ・・」
↓↓
オーストリアがセルビアに宣戦。
↓↓
ロシア(協商国=連合国)がセルビアを支援。
↓↓
ドイツ(同盟国)がオーストリア側に付く。露・仏に宣戦布告。
↓↓
第一次世界大戦へ・・
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ポイント②ロシア・フランス・イギリスに囲まれたドイツの戦術とは?
<ドイツの短期決戦作戦>
独は不利。三方を囲まれている。
英
仏 独 露
墺
独は短期決戦をめざし、まずは全力で仏を倒してその後ロシアへ。
■ 西部戦線(仏との戦い)
独はベルギーの中立を侵犯し、仏・パリを攻めようとした。
(中立国は攻めてはいけない。国際ルール)
英が怒る⇒英の対ドイツ宣戦。
・マルヌの戦い(1914.9)
〇仏 VS ✕独
■ 東部戦線(露との戦い)
・タンネンベルクの戦い(1914.8)
仏に向かうさなか、ロシアが後ろから来た。独はロシアに勝利。
〇独 VS ✕露
勝った勢いのままロシアに侵攻するが、そこでは独は敗北。
→膠着状態。長期戦へ・・。
■ 海上戦(英との戦い)
独は潜水艦を使う。
ルシタニア号の撃沈。軍艦ではなく一般客船。
米の国民が犠牲に。⇒米が怒る
(3)第一次世界大戦の終結
ポイント①日本の参戦!イタリアの裏切り!?
各国の思惑が一気に噴出した大戦の様相
<日本の参戦(1914)>
日英同盟があったため英側(協商国側)に付く。
→独が持つ中国領土を攻める。
・膠州湾と青島(チンタオ)を占領。
・二十一カ条の要求・・大隈重信内閣(早稲田大学創設)
どさくさに紛れて中国の植民地化を進める。
・ドイツ領南洋諸島占領(マーシャル諸島など)
<イタリアの参戦(1915)>
三国同盟の伊は中立を保っていた。それに英と仏は目を付ける。
→「未回収のイタリア」を渡すから・・と交渉。
→イタリアの裏切り!三国同盟を離脱して英・仏に付く。
<英の秘密条約>
どうしても勝ちたい英の3枚舌外交。オスマン帝国領土の3重契約。
[1]フセイン・マクマホン協定
オスマン帝国は英の敵の独側(同盟国側)。そこでアラブ人をオスマン帝国内で反乱を起こすようけしかける。アラブ人国家の独立を約束。(映画『アラビアのロレンス』)
[2]サイクス・ピコ協定
オスマン帝国領を英・仏・露で分割しよう。
[3]バルフォア宣言
パレスチナ(オスマン帝国領内)におけるユダヤ人国家建設を支援。「だからユダヤ人さん、お金を貸して」
↓↓
現在まで続く中東問題の諸悪の根源に・・。
・英は植民地のインドにも自治の約束
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ポイント②世界大戦の終結に向けて
1917年は世界大戦の動向に大きな影響を与えた年!
協商国(連合国)英・仏・露・米・日・伊など20カ国
VS
同盟国 独・墺・オスマン帝国・ブルガリア
・総力戦
国民全員で一致団結。
女性の工場労働。兵器工場。
・ヴェルダン要塞をめぐる攻防
独✕ VS 〇仏
・ソンムの戦い
英軍が初めて戦車(タンク)を使う。→決着は付かず
・独・無制限潜水艦作戦(1917)
「すべての船を無警告で撃沈する。」
⇒米が怒る。米参戦を決定。(1918)
ウィルソン大統領
十四カ条の発表
・ロシアの単独講和
ブレスト=リトフスク条約(1918)
ロシア革命が起こり、ロシアは戦線離脱。独と休戦。
・ブルガリア、オスマン帝国、オーストリア降伏
・ドイツ革命(1918~19)
キール軍港の水兵反乱
各地にレーテ(評議会)が成立
→皇帝ヴィルヘルム2世は亡命。共和制へ・・。
・ドイツ休戦協定
第一次世界大戦終結
(4)ロシア二月革命
ポイント①ついにロシアで不満が爆発!ロシア二月革命
第一次世界大戦の戦況悪化が革命の引き金に・・
・ロシア二月革命(1917)(西暦では三月革命)
第一次世界大戦で民衆が不満を高める。
・ペトログラード蜂起(←ロシア読み。「ペテルブルク」は独語)
労働者、兵士も合流。
↓↓
・ソヴィエトの結成
労働者と兵士の代表による評議会(会議)。皇帝に対し早く戦争終結を求める。
↓↓
・皇帝ニコライ2世の退位
ロマノフ朝の滅亡。皇帝がいなくなり共和制(王や皇帝がいない)へと移る。
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ポイント②二重権力の時代
臨時政府とソヴィエトが併存するロシア社会の行方
・臨時政府
中心:立憲民主党
金持ちが支持。戦争継続の方針。
ロシアの4つの政党
[1]立憲民主党・・富裕層が支持
[2]社会革命党・・農民が支持
[3]メンシェヴィキ・・穏健派
[4]ボリシェヴィキ・・急進派
・ソヴィエト
中心:社会革命党・メンシェヴィキ
即時講和(戦争を終わらせる)
二重権力
臨時政府 VS ソヴィエト
・レーニン(ボリシェヴィキ)
亡命先のスイスから帰国し「四月テーゼ」を発表。
「すべての権力をソヴィエトへ」臨時政府はいらない。
即時講和を主張。
→臨時政府に追われて亡命
・ケレンスキー
社会革命党=ソヴィエトの主導者
臨時政府の首相に就任。二重権力のリーダーが同じになった。
→戦争が終わると思いきや、何と戦争継続の方針を継続。
→民衆は社会革命党(ソヴィエト)に失望・・。
↓↓
ボリシェヴィキに期待するようになる・・。
(5)ロシア十月革命。史上初、社会主義国家の誕生
ポイント①臨時政府を打倒!ロシア十月革命の勃発
ついにすべての権力がソヴィエトへ結集
・ロシア十月革命(1917)(西暦では十一月革命)
レーニン・ボリシェヴィキの武装蜂起
臨時政府の消滅
世界史上初の社会主義国家を樹立
・全ロシア=ソヴィエト会議
臨時政府打倒とソヴィエト権力の樹立を宣言
・「平和に関する布告」の採択
無併合・無償金・民族自決・・領土を取らない。賠償金を請求しない。独立は認める。
全交戦国に講和条約のあり方を提唱した(→欧は黙殺)
・「土地に関する布告」
地主廃止
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ポイント②ボリシェヴィキの独裁体制へ!
レーニンの強引な政権の掌握
ボリシェビキの一党支配
・憲法制定のための選挙を実施
→第1党:社会革命党(農民支持)
第2党:ボリシェヴィキ
(何とレーニン負ける。)
どこにアンチがいるかあぶり出す・・
・チェカ(非常委員会)を作る
革命政権を守るための治安組織。秘密警察。
・憲法制定会議の開催
1週間で武力で解散。
↓↓
ボリシェヴィキの一党支配に(プロレタリア独裁期間)
・ブレスト=リトフスク条約
ロシア全権:トロツキー
独との単独講和。第一次世界大戦から離脱。
・赤軍(せきぐん)の設立
社会主義の色
・ロシア共産党と改称
ボリシェヴィキは「多数派」の意味。「ロシア」を政党名に入れて愛国心の高揚をめざす。
・モスクワへ遷都
欧とは距離を置くため
(6)内戦と諸外国の干渉
ポイント①国内は混乱!外国勢力も干渉!どうするロシア・・
社会主義政権に反発する内外の勢力
ロシア内戦(1917~1921)
・反革命軍(白軍・はくぐん)の蜂起
ソヴィエト政権に反対する勢力。地主・貴族・反ボリシェヴィキの反乱+諸外国
・対ソ干渉戦争(1918~22)
シベリア出兵。チェコ兵救済を理由に勝手にロシアの領土に入る。
・ポーランド=ソヴィエト戦争
ポ〇 VS ✕ソ
↓↓ これに対してレーニンは・・
・コミンテルンを結成
ロシア共産党が中心。全世界で革命を起こさせよう!
(経済政策)
・戦時共産主義(1918~1921)
「みんな、ごめん。外国を追い出すから食料を政府がいったんもらうね・・」農作物を強制徴発・食料配給制に。→人々はやる気を失う。生産力低下。
↓↓
・新経済政策(ネップ)(1921~27)
穀物徴発制の廃止。小規模私企業、小農の経営を認める。→やる気を取り戻す。
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ポイント②ソ連の誕生!
内戦を終結したロシアは新体制へ移行
・ソヴィエト社会主義共和国連邦(1922)
(ソ連、ソ連邦)
4つの共和国で発足
・ロシア
・ウクライナ
・ベラルーシ/白(はく)ロシア
・ザカフカース(現ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン)カフカス山脈の南。
→後に15の共和国に。
・ソヴィエト社会主義共和国連邦憲法の制定
<各国のソ連承認>
・ラパロ条約(1922) 独がソ連を承認。欧で初。
・英、伊、仏、日の順に承認。
・アメリカのソ連承認(1933)→ソ連国際連盟加入。