【39】世界恐慌とファシズム諸国の侵略
(1)世界恐慌の到来
(2)イギリス・フランスの対応
(3)日本の中国侵略
(4)ナチ党の勢力拡大
(5)ナチス=ドイツの動向
(6)ファシズム諸国の協力体制
(7)第二次世界大戦へ
(1)世界恐慌の到来
ポイント①アメリカから始まった恐慌が世界へ波及!!
「暗黒の木曜日」から始まる経済危機
米の繁栄。空前の株式ブーム。
・世界恐慌(1929年10月24日(木))
ブラックサーズデー「暗黒の木曜日」
NY株式市場 ウォール街で株価大暴落
→米で金融恐慌→全世界へ波及
↓↓
・フーヴァー大統領(任1929~1933)
特に対策せず。
フーヴァー=モラトリアム
→欧への支援を1年止める。→欧の経済悪化・・。
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ポイント②フランクリン=ローズヴェルトの改革!
経済には国家が積極的に介入すべき
フランクリン=ローズヴェルト(民主党)(位1933~1945)
<ニューディール政策>
新規まきなおし。国家の経済介入。
・農業調整法(AAA)トリプルA
農民を救済。生産制限、過剰生産物の政府買い上げ。
・全国産業復興法(NIRA)
企業の救済。労働者の団結権・団体交渉権を承認。
↓↓ 企業を助けるのは憲法違反と言われる。
・ワグナー法
労働者の団結権・団体交渉権を改めて承認
・テネシー川流域開発公社(TVA)
政府が総合開発に着手。公共事業。ダム建設など。
多くの失業者を吸収。
<外交>
・善隣外交(1933)
経済的、政治的な南北アメリカの一体化へ
(強い外交から→友好的な外交へ)
・キューバ独立の承認
・ソ連の承認(1933)
市場になるのでは・・との狙いもあり
(2)イギリス・フランスの対応
ポイント①イギリスは自由貿易路線を止める!?
広大な植民地をもつイギリスが取った方法とは
(英の世界恐慌対策)
<第2次マクドナルド内閣(任1929~1931)>
・労働党(社会主義政党)
・失業保険の削減
労働党の反対で総辞職、除名
↓↓
<マクドナルド挙国一致内閣(任1931~1935)>
恐慌対策
・金本位制停止・・金が国外へ流出するのを防ぐ
(金本位制とは・・紙幣と金との交換が保障されている制度。信用度を保つ。)
・オタワ連邦会議(イギリス連邦経済会議)
イギリスは自由貿易をやめる。自治領と植民地とのみ貿易する。
→ブロック経済の採用
スターリング=ブロック(ポンド=ブロック)
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ポイント②フランスの対応はグダグダ!?
恐慌への対策に遅れをとったフランスは・・
(仏の世界恐慌対策)
・フラン=ブロック(英と同じようにした)
国内改革はできず不安定
・小党分立・政局不安定→ファシズム勢力の拡張(反社会主義・反共産主義)
↓↓ ファシズムを押さえ込むために
・人民戦線の結成(反ファシズム)
フランス社会党・急進社会党・フランス共産党
↓↓
・ブルム人民戦線内閣の成立(フランス社会党)
(3)日本の中国侵略
ポイント①日本の軍国主義化
第一次世界大戦後の日本の政治はどうなる!?
金融恐慌に世界恐慌が加わる。軍部が力を持つように。。「持たざる国」の日本は植民地を求めて中国侵略を強める。
<満州事変(1931)>
・柳条湖事件(1931.9.18)
日本の関東軍が奉天郊外で南満州鉄道を自ら爆破。自作自演。中国側の仕業だと言う。
↓↓
さらに満州から目をそらすために・・
↓↓
・上海事変(1932)
日本人殺害事件を口実に、日本の海軍が進出。
↓↓ その間に・・
・満州国の建国(1932)遼東半島の北
執政:溥儀(清の宣統帝)
・リットン調査団の報告
→柳条湖事件は日本の自作自演で侵略。満州建国は認めない。
→日本、国際連盟を脱退(1933)
・五・一五事件(1932)
海軍将校が犬養毅首相を暗殺(政党政治が終わる・・)
・二・二六事件(1936)
陸軍の急進派将校らが重臣・閣僚などを暗殺(高橋是清・大蔵大臣や斎藤実・内大臣など。岡田啓介首相は難を逃れる。)
↓↓
日本は軍国主義へ・・
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ポイント②中国では国民党と共産党の対立が進む
共産党の毛沢東が蒋介石に呼びかけたこととは?
中国国内は国共が対立してまとまっていない・・
<長征(大西遷・だいせいせん)>
・国民党の攻撃
→共産党軍の大移動
→毛沢東は本拠地を瑞金から→延安へ。12,500km
・八・一宣言の発表(1935)
国民党へ内戦の停止と抗日民族統一戦線の結成を訴える
→蒋介石は聞かず。
↓↓
・西安事件(しーあん/せいあん/じけん)(1936)
張学良が蒋介石を監禁・説得。
→蒋介石は抗日への姿勢を示す(しぶしぶ)
(※蒋介石はその後も張学良を許さず、WW2後に台湾で張学良をずっと軟禁していたほど。)
・盧溝橋事件(1937.7.7)北京郊外
日本と中国の軍事衝突=日中戦争が始まる
→同時に第2次国共合作の成立
<日中戦争(1937~1945)>
・南京占領→南京事件
→日本は中国各地へと侵略。中国側は劣勢。日本が優勢。
・国民政府(蒋介石)は南京を捨て→重慶へと遷都
→重慶政府(抗日最後の拠点)
VS
・「南京国民政府」の樹立・・日本の傀儡政権
指導者:汪兆銘
(北伐で蒋介石と対立。別ルートを行った)
(4)ナチ党の勢力拡大
ポイント①ドイツ国民を魅了したナチ党の政策!
合法的な手段で政権の獲得を目指すヒトラー
<ナチ党(国民(国家)社会主義ドイツ労働者党)>ファシズム政党
「国民社会主義」の意味・・資本主義で生じた問題を、ロシアのような社会主義ではなく、国家が率先して解決する。独裁権力を使う。ファシズム。
指導者:ヒトラー
・反ユダヤ主義、反共産主義
ユダヤ人は商売、金貸しが多い→貧富の差が拡大している。
・植民地の再分割を目指す
↓↓
・中間層(中産階級)や軍部の支持
↓↓
・突撃隊(SA)
反対派を暴力で打倒。ナチスの私軍。
・親衛隊(SS)
幹部の身辺警護組織
→後にゲシュタポ(秘密警察=スパイ)を創設
反対派を抑圧していく。
・ミュンヘン一揆(1923)→✕失敗
ナチ党のクーデタ
ヴァイマル政府の打倒を掲げ、政権獲得を目指す
(ムッソリーニのローマ進軍のように。)
→鎮圧される。
(ドイツ国民はルールを重んじるため)
→合法的な手段に変えていく
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ポイント②ヒトラーの政権獲得。第三帝国の成立
世界恐慌を機に一気に党勢を拡大するナチ党・・
<世界恐慌によるドイツ経済の破綻>
ヴァイマル共和国
・2代ヒンデンブルク大統領(任1925~1934)
世界恐慌の波及
→効果的な対策を打てず、失業者は増加を続ける
・1932年選挙
第1党:ナチス 第2党:社会民主党 第3党:共産党
↓↓
・ヒトラー内閣の発足(1933)
ヒトラーは即座に国会解散宣言
→国会議事堂放火事件
→ドイツ共産党弾圧(解散)→ナチ党に吸収
<第三帝国(1933~1945)>
・全権委任法・・政府に立法権を委ねる
(ヴァイマル憲法が停止。死文化)
(第一帝国:神聖ローマ帝国。第二帝国:ドイツ帝国)
・ヒンデンブルク大統領の死
大統領・首相・党首の全権を掌握
→総統(フューラー)
(5)ナチス=ドイツの動向
ポイント①ナショナリズムを利用した政治
ヒトラー政権が支持された最大の要因とは・・
<経済政策>
・アウトバーン建設・・高速自動車道路網(独ー墺間)
失業者を大量に吸収
・四カ年計画・・軍事最優先の生産活動
<ユダヤ人排斥> ナショナリズムの利用
・ホロコースト・・ユダヤ人大虐殺
各地にゲットー(強制隔離居住区)を設置
強制収容所・・アウシュヴィッツ(ポーランド南部)
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ポイント②ヴェルサイユ体制の打破!軍備を拡大するドイツ
国際連盟の脱退後の急激な軍備拡張
<ナチス=ドイツの外交>
・国際連盟の脱退(1933)・・日本についで2番目
・ザール編入・・石炭。住民投票で独領に。独仏国境
・再軍備宣言(1935)・・徴兵制復活(義務兵役)。ヴェルサイユ条約の破棄
<ヨーロッパ諸国の対応>
仏:仏ソ相互援助条約締結
(その後、仏・チェコスロバキア・ソ連が同盟を組む)
→仏は独の再軍備を警戒
英:英独海軍協定の締結(1935)
→英は独の再軍備を容認した。ソ連の社会主義勢力を抑えたい。
→ナチス暴走。
↓↓
・ラインラント進駐(1936)・・仏ソが組んだことに反発。西欧の安全をうたったロカルノ条約破棄
(6)ファシズム諸国の協力体制
ポイント①ファシズム勢力を抑えこめ!
各国の共産党はファシズムを第一の敵とする
ファシズムは反共産・反社会主義
<コミンテルン第7回大会(1935)>
・「味方でないものは敵」→「敵でない者は味方」
各国の共産党はあらゆる反ファシズム勢力と協力
→人民戦線の結成
<スペイン人民戦線の結成(1936)>
・スペイン=ブルボン朝の崩壊
→ファシズム政党が党勢を拡大
・アサーニャ人民戦線内閣
社会主義的改革を実施
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ポイント②ファシズム国家の同盟成立
ドイツとイタリアが急接近。一体何が?
独はヨーロッパで孤立している。イタリアが追う。
<ファシズム国家の国際的孤立>
・伊(ムッソリーニ)、エチオピア侵入(1935)
恐慌による国内の経済危機から国民の目をそらすために決行。
(※第1次エチオピア戦争(アドゥワの戦い1896)はエチオピアが勝利し、伊を追い出したが、今回の第2次はイタリアが勝利し、エチオピアを併合した。)
→国際連盟、イタリアに経済制裁を実施
→イタリアも孤立していく・・
↓↓ この内戦をきっかけに独・伊が仲良くなる
<スペイン内戦(1936~1939)>
・アサーニャ人民戦線内閣(社会主義)
→軍人フランコの反乱(ファシズム支持)
↓↓
ファシズム(フランコ側)ドイツ・イタリア
VS
社会主義(アサーニャ側)ソ連、国際義勇軍(米:ヘミングウェー)↓↓
・不干渉政策
英・仏など20カ国は内政不干渉を宣言。
→「独伊ファシズムはソ連の社会主義を倒してくれるのでは・・」という浅はかな期待を持つ・・
↓↓ 怒られないな・・
・ベルリン=ローマ枢軸の成立(独と伊の同盟)
・三国防共協定の成立(日独伊)
「防共」=「防ぐ。共産、社会主義を」
英仏「日独伊でソ連を囲んでる・・!つぶしてくれるかも」
独伊「防共と言えば何をしてもいいんだな」→悪い自信を付けてしまう。
→イタリア国際連盟脱退(1937)3番目の脱退
ドイツ空軍のゲルニカ(バスク地方の町)無差別爆撃
ピカソ『ゲルニカ』を描いて抗議
・首都マドリード陥落
〇フランコ独裁政権(ファシズム政権)の成立
✕アサーニャ人民戦線内閣(社会主義)
(7)第二次世界大戦へ
ポイント①暴走するヒトラーを放置する英・仏
領土拡大に動くナチス=ドイツを黙認する理由は?
スペイン内戦で自信をつけたヒトラー、さらに暴走・・
<ドイツ人地域への進出>
・オーストリア併合(1938.3)同じゲルマン民族だから
ヴェルサイユ条約やサン=ジェルマン条約で禁止されているのに、誰にも文句を言われない
・ドイツがズデーテン地方(チェコスロバキア・ドイツ系住民多い)の割譲を要求→チェコスロバキアは拒否
↓↓
<ミュンヘン会談>(1938.9)
・英:ネヴィル=チェンバレン
・仏:ダラディエ
・独:ヒトラー
・伊:ムッソリーニ
(※ソ連、チェコスロバキアの代表は未招集)
・宥和(ゆうわ)政策・・独に譲歩。英仏はヒトラーの要求を受諾。(=防共を期待しているため)
↓↓
・ドイツ、ズデーテン地方を併合
英「これが最後だよ」独「分かった」
↓↓ と言いつつ暴走は止まらない
・チェコスロバキア解体
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ポイント②世界に激震!ドイツがある国と同盟を締結!
第二次世界大戦へと突入するヨーロッパ
<ダンツィヒ・ポーランド回廊の割譲要求>
・ポーランドは英仏の支援を期待して拒否
↓↓独「ポーランドを攻めたらソ連が来るな。戦うより利用してやれ」
・独ソ不可侵条約の締結(1939.8)
(2国の思惑)
ドイツ・・両面戦争(仏とソ連に挟みうち)の回避
ソ連・・英仏への不信感
↓↓
世界が衝撃!
(日本、35代平沼騏一郎「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じた。」総辞職(日独伊で防共するんじゃないの?共の親玉のソ連とくっつくの?))
↓↓
・ドイツ、ポーランド侵攻(1939.9.1)
→第二次世界大戦の開始