【06】東南アジア前近代史
(1)隋の時代
(2)唐の政治体制の確立
(3)唐の支配体制の動揺
(4)唐の社会経済と周辺諸国との関係
(5)唐の文化
隋(大興城(長安))→唐(長安)
(1)隋の時代
〇優秀な人材を集めるために
■ 隋(589~618)約30年
(都:大興城(長安の近く))
初代・文帝(楊堅)
北周から禅譲。
先に北を抑える。
・突厥(トルコ系)を攻撃→突厥は東西に分裂(583)
次に南へ。
・陳の征服(589)
・科挙(598)
学科試験。貴族の高級官職独占を防ぐ。
身分、家柄を問わず優秀な人材を採用。
〇中国の南北をつなぐ大動脈
2代・煬帝(楊広)(604~618)
煬:「天に逆らい民を虐げた愚か者」の意
帝:わざと「だい」と読む。皇帝の器ではない。
・大運河の造営
・長城の修復
・高句麗遠征の失敗(3回)
〇三大制度の確立
隋・唐で整備。中国統治体制の基盤となる
・均田制(土地制度)
国が土地と民を管理する。
北魏で始まり、隋・唐で整備される。唐の半ばまで続く。
牛、妻、奴隷への給田を廃止。→金持ち優遇を是正。
・租調庸制(税制)
租(穀物)調(布)庸(労役)
・府兵制(兵制)
西魏で始まる。均田制で土地を支給された農民から徴兵。
首都や辺境の警備。その間税金は免除。
(2)唐の政治体制
〇皇帝の力の強弱は?→弱い
■ 唐(618~907)(都:長安)
★初代・高祖(李淵)
隋の武将
★2代・太宗(李世民)626~649
・貞観の治
・三省六部
皇帝の力はあまり強くない。貴族が決定権を持つ。
三省(中央政府の最高機関)
ー 中書省・・詔勅(皇帝の命令)の立案
ー 門下省・・詔勅を審議(←権限が最も強い。貴族が独占)
ー 尚書省・・詔勅の施行
↓↓
六部(6つの官庁の総称)
吏・戸・礼・兵・刑・工
吏部(文官の人事)、戸部(財政)、礼部(礼儀・教育)、兵部(軍事)、刑部(司法)、工部(土木)
御史台(官吏の監察)
〇安定した統治体制の完成。
・律令国家体制
法律による統治体制→朝鮮、日本、ベトナムなどに波及。
律(刑法)
令(行政法・民法)
格(さらに付け加えたいとき)
式(実行に当たっての注意点。さらに細かいルール)
・州県制(隋・唐に確立)・・≒ 郡県制(秦)。皇帝が任命した役人が統治。
・東突厥(モンゴル高原)を征服(630)
・科挙(官吏登用)
・均田制、祖調庸制、府兵制
・雑徭(ぞうよう/ざつよう)・・地方官庁での力役(りきえき)。橋の修復など
〇中国皇帝のプライド?
周辺の異民族に対する中国の支配方法は。
3代・高宗(649~683)
・領土が最大に
・白村江の戦い(新羅を支援)
・西突厥を攻撃。分裂。
・羈縻(きび)政策(異民族統治)
各部族長に自治を与え、異民族の文化、宗教を容認。ただし反乱は許さない。
↓↓
「都護府」の設置。
官吏と軍隊が駐屯。異民族の自治を監督。
(3)唐の支配体制の動揺
〇中国史上唯一の女帝
■ 周(武周)
則天武后(位690~705)
3代・高宗の妻。子の代わりに即位した。
・科挙官僚の積極的登用。貴族勢力を抑圧。
〇女性の心を奪われた玄宗
★6代・玄宗(位712~756)
開元の治
・節度使の設置
周辺異民族にそなえて儲けられた軍の指揮官。国境を守ろうとした。
・募兵制の実施
均田農民の没落・逃亡を受けて金銭で兵を徴集。
しかし後半は・・
・楊貴妃を溺愛
政治の乱れ、豪奢(ごうしゃ)な宮廷費
↓↓
・安史の乱(755~763)
節度使の安禄山(ソグド系)、史思明の反乱。
(中央アジアのイラン系)
異民族ウイグルの支援を得て平定。
↓↓
均田制が崩壊。
羈縻政策の破綻。
〇財政の再建策が持つ「意義」
税制の改革。財政の再建をめざした。
★両税法の制定(780)
・夏・秋に分けて徴税
・土地の所有者が税を負担
各戸の資産に応じた銭納。耕作面積に基づく穀物納入。
↓↓
均田制の崩壊。
「もう土地は誰が持っていても、国は干渉しない。」
★黄巣の乱(875~884)
塩の密売商人。国の塩の専売に反発。
・荘園(貴族の土地)の荒廃
・地方の節度使(軍人)が自立化。(もう王朝のいうことを聞かない。)
↓↓
・藩鎮(節度使のレベルアップバージョン)・・節度使が軍事権、財政権、民政権の3種を掌握。
★唐の滅亡(907)
・節度使の朱全忠
唐を滅ぼして後梁を建国。
(4)唐の社会経済と周辺諸国との関係
〇国際色豊かな社会
外国商人、文化との接触
・ムスリム(イスラーム教徒)商人
ダウ船。ヨットのような大きな帆。海上貿易。
・ソグド人(イラン系)
内陸の交易
・阿倍仲麻呂(698~770頃)
玄宗に仕えた。日本に帰れず。
〇貿易都市や商業都市の成立
・長安・・唐の最盛期(8C初)人口100万人
・広州(広東省)
南海貿易の拠点。初めて市舶司(海上貿易を管理する官庁)が置かれた。
・揚州(ようしゅう)
長江北岸
・草子(そうし)(都市の城郭外に開設)
非公認の市。商人が集まった。
「粗末な市」の意味。唐末から発生。
〇冊封体制と羈縻政策
★冊封(さくほう)体制
・中国が周辺「諸国」と形式上の君臣関係を結んで形成された国際秩序。
・朝貢した首長に対し官爵を与え、その統治を承認する。
朝鮮、日本、東南アジアなどから。
・青海・チベット(唐の西方)・・吐蕃(とばん)(7~9C)
・雲南地方・・南詔(~902)
・東南アジア・・チャンパー、シュリーヴィジャヤ
・朝鮮・・新羅、渤海国
★羈縻(きび)政策
・周辺「異民族」に対して取った政策。遊牧民。
・唐の北方(モンゴル高原)など。
・各地の部族長に対して自治を認める間接統治。
・都護府を設置し周辺異民族を監督。
(5)唐の文化
〇国際色豊かな文化
・ポロ競技(西アジア起源)
(乗馬ホッケーのようなもの)
・唐三彩
唐代で作られて東アジアに広まる
★宗教
・仏教
浄土宗・・阿弥陀仏信仰。極楽浄土への往生。一般に広まった。
禅宗・・禅、瞑想、座禅など。知識人に。
・唐代三夷教
・ゾロアスター教(祆教)
・マニ教(摩尼教)・・ウイグルで国教化
・景教・・ネストリウス派キリスト教
・イスラーム教
回教、清真教
〇儒学の発達
唐の統治を支えた。
★訓詁学の確立。
訓詁学とは後漢に始まった経書の字句解釈。
・孔穎達(574~648)
『五経正義』・・五経の解釈を統一、固定化した。(古文単語帳のようなもの)
→科挙のテキストになった。暗記中心に。
VS
・韓愈(韓退之)
儒学の固定化に反発。儒学を昔に戻そう。儒学の復興を主張。仏教や道教を排撃。柳宗元と共に古文の復興もめざす。唐宋八大家の一人。
〇芸術分野の発達
★詩
・李白(701~762)
詩仙。自由奔放。
・杜甫(712~770)
詩聖。妻子と流浪の生活を送る。
・白楽天(白居易)(772~846)
「長恨歌」玄宗と楊貴妃の悲恋。
・王維(701~761)
「詩中に画あり、画中に詩あり」
自然をテーマに。山水画も描く。
★山水画
・呉道玄(8C)
人物、神仏
★書
・顔真卿(8C)
力強い書風。安史の乱を抑えた軍人でもある。
・トライ世界史 【09】東アジア文明圏の形成(隋・唐) □⇒